EVENTS:Butcher as a craftsman 肉屋という職人 / ESSENTIAL EATING FOR WELL BEING(よく生きるための食)

Category : EVENTS ワークショップ 記事

ジビエ専門店「山崎商店」との出会い


Butcher as a craftsmanー肉屋という職人ー(テーマ:ジビエ肉)

11月下旬。そろそろ鍋物が恋しくなってきたので猪鍋をやろう!ということになり、松本の内田地区にあるジビエ専門の肉屋「山崎商店」に猪肉を買いに行った。

ジビエ(gibier)とは、狩猟で得た野生の鳥獣の肉を指すフランス語である。

2011年頃からだったと記憶しているが、東京ではにわかにジビエブームが起きて、雨後の筍のようにジビエ料理を提供するお店が続出した。中には安かろう悪かろうの肉を出す店もあり、その影響もあってか「ジビエは臭くて苦手」という方も少なくないように思う。個人的にはその独特な風味が好きな方だが、件のブームの折、残念きわまりないジビエ料理をいただいたこともあったので、グルメとしてのジビエに対してはやや慎重というか、懐疑的な思いがないでもなかった。

松本駅から車でおよそ30分、塩尻市との市境に山崎商店はある。店内には肉を販売するスペースがあるだけでなく、猟師が獲ったシカやイノシシなどの獲物を運び込んで解体する作業室と加工室を併設している。というか、解体室と加工室の隣で肉を売っていると言った方が正しいかもしれない。

その日は肉を買って帰るだけのつもりでいたのだけれど、店主の山崎さんがせっかくだからと加工室を案内してくれた。加工室には肉を捌いたり不要な血管や脂肪を取り除くための包丁や器具が何種類も置かれていて、私の目はそれらの道具にくぎ付けになった。

「食材」としての肉を作り出す職人

今までジビエ料理を食べることはあっても、その肉がどうやって加工されているかを考えてみたことなんてなかった。けれど、例えばレストランでいただく鹿肉のローストは、野山を駆け回っていた鹿が狩猟され解体されきれいに加工されて初めて私の口に運ばれるのだ。当たり前のことなのだけれど、この半年野菜作りのことばかり考えていたこともあって、目の前に広がる「肉が作り出されていく」工程に好奇心が大いに刺激された。

山崎さんがジビエ肉を作る姿、そしてその空間を見ておもしろいことに気が付いた。

彼は「肉屋」というよりまるで「職人」、山崎商店は「お店」というより「工房」のようなのだ。無論、鶏肉や豚肉、牛肉といった普段口にすることの多い肉であっても、私たちの手元に届くまでには必ず、畜産農家から出荷されたウシやブタ、ニワトリが各地方の卸売市場で解体され加工され「食肉」となるプロセスを経ている。

ただ、卸売市場での食肉加工は卸売業者、仲卸業者、買出人など多くの業者を介する上、1億2千万人の食卓を支えるために解体・加工プロセスも分業制がとられ、そこには多くの人員が携わっている。それゆえ、食肉加工は一連の流れをイメージしづらいというか、加工の現場と消費者である私たちと間には心理的に結構な隔たりがあるように思う。

一方で、ジビエ肉を作る山崎さんはお店に獲物が搬入されて以降、商品の小売に至るまでのすべてのプロセスを一人でこなす。

「職人」の定義を紐解いてみると「自ら身に付けた熟練した技術によって、手作業でものを作り出すことを職業とする人」を指すという。

目の前の獲物に一対一で向き合い、丁寧にそして確実に作業を進めていく山崎さんの手つきはまさに、職人のそれである。そうして出来上がったお肉は、プロセスも含めて一つの「作品」にすら思えてくるのだ。

丁寧に肉を捌いていく

「猪肉は鍋も良いですが、塊で焼いたのを少しずつ削ぎ切りしながら食べるのがおすすめです。うまいですよ」という山崎さんの助言に従い、その日は半分を鍋に、半分をローストにしていただいた。

初めて食べる猪肉は、肉の風味は強いもののそれが臭みとして感じられることはなく、しっかりとした歯ごたえの中に適度な脂の旨味を感じ、上品で美味であった。鍋は、猪肉のパンチの強さに負けぬようにということで味噌仕立てにしたが、肉が上質なので味付けは選ばないし水炊きでいただいても良いと思う。

 

ESSENTIAL EATING FOR WELL BEING 第一夜:Butcher as a craftsman 肉屋という職人

KNOWERSでは”ESSENTIAL EATING FOR WELL BEING”と題して、自分にとってよりよい「暮らし」とは何か?を、「食」という面から考えてみようという企画をつくりました。肉・野菜・嗜好品・調味料といった食材に精通しているエキスパートをゲストとしてお招きし、トークイベント形式で行います。

第一夜のテーマは「肉」。今回はゲストに山崎商店の山崎悟さんをお招きし、お肉が出来るまでのプロセスやジビエ料理の魅力などを語っていただきます。ジビエ料理の試食の他、猟師さんとのクロストークも予定しています。

以下の申し込みフォームからご参加ください!
Butcher as a craftsmanー肉屋という職人ー(テーマ:ジビエ肉)

ゲスト

ジビエ専門精肉店・山崎商店 山崎悟さん
猟師 山口さん

スケジュール

第一部 From KNOWERS

ジビエを知ろう

ゲストのご紹介
・山崎さん「山崎商店が出来るまで」
・山口さん「猟師になったきっかけ」

ジビエ肉ができるまで
・脱骨(だっこつ)という作業
・美味しいお肉の裏にある努力

第二部 KURUMAZA Talk

みんなで話そう

食文化としての日本ジビエの可能性

ミールタイム
・鹿肉のタコライス(グローカルフーズ NAVEL)
・鹿肉ベースの冬野菜スープ

日時

2018年2月16日(金)19:00~21:00

場所

〒390-0817 長野県松本市大手1丁目3−29 丸今ビル1F  コワーキングスペースKNOWERS

参加費

3,000円(会場支払い)

お申し込み

Butcher as a craftsmanー肉屋という職人ー(テーマ:ジビエ肉)

皆さまのご参加をお待ちしています。
第2回(3月)のテーマは「お茶 × コーヒー」を予定しています。

関連記事:ESSENTIAL EATING FOR WELL BEING:「食べる」ことから考える、よりよい「暮らし」

コーディネーター

大嶋遥

料理人の叔父に憧れその道を目指すも母の反対に遭い、普通に四大を出て普通に就職。都内での会社勤めを経て、30歳を機に予てから興味のあった自然農法を学ぶため会社を辞め松本に移転。現在はKNOWERSコーディネーターの傍ら、再生可能エネルギー技術開発企業で翻訳業務に従事。好きな言葉『普通は0点』(冨田勝・慶応義塾大学先端生命研究所長)

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