Category : まつもとコネクト
多様な働き方が存在する現代。
最近は、”一つの会社で生涯働き続けることが当たり前”ではなくなってきています。
多様な働き方の中でも近年注目されているのが、「フリーランス」という働き方。ここではフリーランスについて考えてみたいと思います。
2019年1月、松本市のコワーキングスペース”Knowers(ノウアーズ)”で「まつもとコネクト」が開催されました。地域で新しい事に挑戦したい人や応援する人を繋ぐ定期的に開かれるイベントです。
序盤は松本経済新聞さんの提供で、直近で印象に残ったニュースをご紹介いただきました。
▽オススメ記事
安曇野のコワーキングスペースが「ワーケーション」提唱 チケット利用でサービス
今秋開設「ICT拠点施設」が名称募集 松本らしく、親しみやすいものを
そしてメインは、長野県松本市内で“フリーランス美容師”として活動する久保田裕也さんをゲストに迎え、フリーランス美容師という働き方を選んだ経緯や、今後の活動の目標をお聞きしながら、地方での働き方について考える時間を持ちました。
―フリーランス美容師として活躍されている久保田裕也さんにお話を伺っていきます。よろしくお願いいたします。
久保田裕也(以下、久保田さん) 久保田裕也と申します。フリーランス美容師をしています。
僕は長野県の上伊那郡中川村出身で、20~26歳までは東京の2店舗で働いていました。
ちょうど1年前、飯田から松本にお店を出店するということで店長としてお店をだしたのですが、色々あって閉店しました。
お店の閉店を機に松本へ来たのが去年の12月5日なので、こちらへ来てまだ2ヶ月ほど。松本へ来てからフリーランスの美容師になりました。
―フリーランスの美容師って珍しいですよね。「フリーランスの美容師」というお話を聞いた時、「フリーランス」というキーワードでイベントをやりたい!と思ったんです。フリーランスになった経緯をお聞かせください。
久保田さん 今お世話になっている美容室には3席あって、そこでスタイリストの僕とオーナーの2人仕事をやっています。
そのオーナーもフリーランスとして働いていて、以前募集があったので僕が応募したんです。僕の他にもフリーランスという形で働きたい人もいて、現在応募が来ています。
―尊敬する人や、座右の銘を教えてください。
久保田さん 尊敬する人は美容師でもいっぱいいるんですが、人生で考えると、やっぱり「父」かなと。
父は昔から個人事業主として設計事務所を運営していて今も一人でやっています。家族からはどちらかというと考え方が少し違うというか煙たがられているのですが、言っていることの本質をついているのが最近では感じることが多くなって来たので、尊敬しています。
座右の銘は「継続は力なり」。ありきたりな言葉ですよね(笑)
ですが、実際に行動していくことは難しいです。「2019年に、毎日必ず続ける」といくつか決めたことがあるので、継続していきたい思いも込めて「継続は力なり」と設定しました。
最近の悩みは「多くの人に知ってもらう方法」です。僕自身、あまりない肩書で行動していくことで、自分の働き方や生き方を通して「こういう生き方もあるんだ」と他の人の働き方の幅を広げてもらえればなと思っています。今後は、皆に知ってもらうということを課題にしていています。
―これからの時代、「作業的なこと」中心の世の中から、「作り出す・能動的な」仕事に人間がシフトしていかなければならないのではないか思っています。つまり”Jobからworkへ”という時代の働き方が変わろうとしています。
フリーランスを選ばれる方はそういう局面を考えていらっしゃるのかなと。今回、実際にフリーランスの人がどういう思考をしているのか、どういうことを心がけているのか?という話をお聴きしたいです。
久保田さん 東京の時は結構人数が多くてスタイリストがたくさんいました。自分はアシスタントとしてシャンプーしたりが多かったです。直接フリーランスとは繋がらないかもしれないが、流れ作業の中の一人というか、お客さんをさばく中での一人でしたね。
そんな経験から、1人のお客さんをアシスタントに回すのではなく、「自分一人で一人のお客さんに最後まで責任をもって付きたい」というのを思ったんです。
また、店舗を構えるというのは難しい面あり、もともとも自分の時間もしっかり取りたいというのもあったので、今フリーランスになりました。
久保田さん 今は、自分の所に来てくださるお客様しか切っていないので、とても充実した毎日を過ごしています。空いた時間は自分の勉強したいことに費やしているのでとても幸せです。
それが直接的かは分かりませんが、元々手荒れが酷かったんですけれど、治っちゃったんです(笑)
精神的なものかもしれないんですけど、 今はすっかり良くなりましたね。
―ライフスタイルというか、一日の流れが変わったんですかね。
久保田さん そうですね、変わりました。営業時間は決まっているので、その時間内で予約が入ったときだけ仕事して、あとは自由にやっています。自由だからこそ、自分で定期的にやることとか「この時間になったらこうする」等を自分の中で決めてやっています。
―転職・飯田に戻るなど色んな選択肢があった中で、なぜフリーランスになったのですか?
久保田さん 一番はお店が閉店してしまうという可能性があったからです。
飯田に1年しかいなかったですが、長く来てくださるお客様を裏切る形になってしまうのは嫌だったというのが一番大きな理由です。閉店と言う形だったので、今は前の会社からお客さんを引き継いでいます。
フリーランス美容師が多いのか?というと、松本では僕の知っている限りではいないですね。東京では、働いていたときの先輩がやっていたり、「シェアサロン」というのも増えてきています。
フリーランスの美容師がスペースをシェアするんです。何個かブースがあり、シャンプー台だけ共有しています。お客様とはLINEで繋がっていて、完全に個人同士でやり取りしていますね。
―すごいですね。フリーランスのメリット・デメリットを教えてください。
久保田さん メリットは先ほどもお話ししましたが、時間を自分で決められるのと、僕はあんまり求めていませんが、稼ごうと思えばすごく稼ぐことも出来ます。勤めてめているよりはやった分は収入が入るので。
逆にやらなかったら収入が減るというのがデメリットですね。
僕は普段お客様からlineで予約の連絡いただく事が多いので、時間帯によっては自動メッセージで返信してしまっていますが、基本いつでも連絡取り合える状況なので、プライベートと仕事がもともとない状態です。ライフワークって言うんですかね(笑)やりたいお客様だけやらせて頂いている状況ですね。
しかし勤めているときはお店の売り上げ上げていかなきゃいけないので、やりたくないわけではないんですが、自分の所に来てくれたお客さんと言うよりは、「お店に来たお客さんをこなして行かなきゃいけない」というのが嫌だったんですね。
自分に合うお客さんだけ選んでいる訳ではないし、断ったりはしていないですけど、例えば今ホットペッパーとかで安いクーポンがありますけど、「安さ目的」とか「とりあえずちょっと髪やって欲しい」と来た方は、頑張りますけど、自分も人間なんで、モチベーションは下がりますね。
「自分の所に来てくれた人」とはちょっと変わりますね。
―雇用されているときとフリーランスと一番違う点は?
久保田さん 雇用されている・働いているときとフリーランスと一番違うのは、自分の時間を使えることです。
働いていた時はお店の販促活動、後輩指導、いろんなやらざるを得ないことがあります。ぼくも育ててもらっているのでもちろん後輩を育てたいけれど、そこに時間を割かれすぎていると感じます。やはり時間ですね。
モチベーション的にも違う部分を感じます。時間に余裕が出来るとか、お客さんと良い関係を築ける。メリットは色々あります。
久保田さん 固定給があるわけでなく、給料が保証されているわけではないので、「やらないと死ぬ」という部分では、モチベーションを保てています。
自分が美容の世界で生きてきて思うのは、結構狭い視野でしか考えられない業界だったりするんです。「自分の腕一本しかない」、という感じしかなかったので、フリーランスという生き方もあるということを広めていきたいです。
後輩たちをいい方向へ持っていきたいというモチベーションはありますね。
お客さんが何人いるとフリーランスが出来るとか、僕は特に決めていません。やってみて売り上げで食べられなければもう少し考えようと思っています。
お客様に「フリーランスで続けます」って言っても、次に来てくれるかは分かりません。なので、人を集める方法としてネットを活用していて、FacebookやTwitter等で、自分がどういう人か知ってもら得るよう、発信を頑張っています。
――地方のキャリアの作り方について考えてみたいと思います。今、地方と都内で差があります。特に私もITの方ではすごく感じるところです。技術の差、情報の差、コミュニティーの差。本当に色んな差がすごくあります。会場の中のフリーランスの方で、独立について意見を聴かせてください。
参加者1 私の場合はもともとは大企業のサラリーマンから入って経営者まで行きました。そこで疲れ果ててこちらに移住するにあたって個人事業主(フリーランス)になりました。
私が感じるのは、フリーランスになる人は思いの方が強い。自分はこういうことをやりたい、こういうスタイルでやりたいというのを大事にされていて、思いを持っているように感じます。
私もサラリーマン出身なので分かるのですが、サラリーマンの人は折り合いを付けなければならない。その折り合いがつけられる範囲を超えたときに、多分自分は独立した方が良いのかなと思う。
消してサラリーマンは安定している仕事と理解しているわけではないですが、それ以上に”本当に思いがあるのか?” ”定期的な収入を捨ててまでやりたいと思えることがあるのか?” その辺のバランスの中でサラリーマンは生きているのではないかなと。
その辺でもがいている人が増えているのではないかと思います。
世代の違いももちろんあります。団塊の世代はその環境が当たり前の中で生きて来た人たちもいますが、大事にしている割合が少しずつ変ってきて、今の時代は思い切って踏み切れる方が多い気がします。
「より自分の大事なものを守っていこう」という方向へ進む人が増えているような視点でいます。
参加者2 私は北海道の家具メーカーにも努めていましたが、2年半で辞めました。「独立をしたい」という重いは小さいときからありました。
家具を作るということ自体特殊な仕事というか、あまり一般的でない仕事だと思いますが、もともと安定は求めていなく、自分の好きなことをやりたいという方が強かったです。
参加者3 私は父親の会計事務所で働いています。東京にいたときは大手の会計事務所にいて、サラリーマンも悪くはないなと思っています。その理由に”仕事が大きい”というのがあります。例えば、海外に進出したいときに結構大きい所でないとなかなかできない所がありますね。
それなりの予算収入があって進出のためのリサーチもあって、海外のオフィスがあって、提携先のブランドのオフィスを持ってて、一緒にプロジェクトをやるということは会社員も悪くはないです。
独立するというのは、やりたいことがないと出来ないですよね。自分はどちらかというと流されるタイプなので。仕事を与えてくれる”会社”というのが良かったかなというサラリーマンの目線でも話してみました。
―なるほど。ちなみに都内からきて業務の内容も変わりますか?
参加者3 変わりますね、東京では公認会計士として、松本に戻ってからは税理士としての振出しに戻った、とまでは行きませんが、リセットした感じですね(笑)
やはり地方は地方なりの活動の仕方があると思います。都内の人も地方ですぐに出来るわけではないし、逆もしかりです。
都内だと結構すぐ今流行っていることがSNS関係とか飛びついてやっている人が多いなっていう印象ですが、地方はSNSをやっていない人が多い印象ですね。リアルな繋がり、口コミだったり地元の人や友達が来てくれたりとかが多いです。
自分なりの仕事の仕方を作って良ければ良いのかなと思います。
―久保田さんの方でこれから5年後を見据えてどんなキャリアを作っていきたい等はありますか?
久保田さん 僕自身は自分のお店を開いてバリバリやって・・・というのは考えていないんです。今所属している”シェアできるサロン”は地方ではあんまりないので、今後増やして行けるように動いていきたいなというのは考えています。
自分のお客さんは限度があるので、自分みたいな立場のフリーランス美容師を増やして、その場を提供して…というのを考えています。
「フリーランスをやりたい」というお問い合わせも少しずつ来ています。個人的には、地方での働き方の選択肢が少ないなと考えています。
なので、自分で新しい働き方を考えたりキャリアを持っているのは、色んな人にとって価値を提供しているかなと思っています。働き方の選択肢が増えていけばいいなと思っています。
今回のイベントでお話を聞いて行く中で、久保田さんの美容師としてのプライドや、強い思いを聞くことが出来ました。
多様な働き方が存在する現代。今後はただお金の為だけに働くのでは無く、やりがいや使命を第一に考え、自分に合った仕事の選択肢を広げていくことが大切。そんなことを感じさせられました。
Category
Archive
check daily events