Listen&Read で働くあなたの左脳と右脳を刺激する、
「FUTURE WORK SESSION」というラジオ番組をFMまつもとで放送中!
今回は、リトルプレスの本屋さん栞日・菊地徹さんをゲストに迎えた放送回を書き起こし。
『働き方に影響を与えた本』&『仕事の○○な場面で聞く曲』の紹介をしていただいております。
ページの最後にはイベント&展示情報もありますので、そちらもチェック!
ーー本日は、栞日の菊地さんに来ていただいております。私見ですが街の有名人・みんな大好き菊地さんというイメージでして、皆さんもうご存知かもしれないのですが、簡単に自己紹介をお願いできますか?
菊地さん:いやいやいや、そんなことないですよ!松本駅前通り沿いでブックカフェ、本とコーヒーのお店・栞日を営んでおります店主の菊地徹です。今日は宜しくお願いします。
ーーよろしくおねがいします。 それでは早速なんですけれども働き方に影響を与えた本の紹介をお願いできますか?
菊地さん:はい、『ロマンティックに生きようと決めた理由』という本を選びました。もともとはウィンドチャイムブックスという出版社から発行されている本なんですが、今日お持ちしたのはアノニマ・スタジオという出版社から再販されたものです。
残念ながらもうお亡くなりになってしまっているんですが、永井宏さんという美術作家の方が編集をしています。内容は、永井さんと一緒に芸術活動をなさっていた10人の方々がそれぞれ散文形式でエッセイを綴っているというものです。
永井さんは1992年から96年まで三浦半島の葉山に「SUNLIGHT GALLERY」というギャラリーを運営なさっていて、この10人というのはギャラリーに集っていた方たちなんですね。ご職業は色々で、フードスタイリストの根本きこさんとか、鎌倉でヴィヴモン・ディモンシュという超有名なカフェをやってらっしゃる堀内さんとか、あとはスタイリストとしてご存知の女性の方も多いんじゃないかなと思うんですけれども赤澤かおりさんとか。今となっては第一線の著名人たちが、みんな永井さんというハブでつながっていたんだなあという意味でも発見があります。
この本の中では、10人ぞれぞれの視点で普段の生活の中で気づいたことや見つけた表現を言葉にすることを試みています。というのも、永井さんご自身が「普段の生活の中にあることこそがアートなんだ、誰でも作家やアーティストになれるんだ」という考え方をもっている方なんです。
なので、エポックメイキングな何かが綴られているわけではなくて、「あっ、これ僕も目にしたことがあったけど、視点が違って気づいてなかったな」みたいな事が出てきたりとか。
「忘れ始めていたことだけど、やっぱりこの考え方大切だよね」って思いなおしたりとか。ちょっとした発見や気になるフレーズが沢山ちりばめられていて、そういったところに影響を受けました。
ビジネス書として読む人は多くないと思うんですが、僕みたいに個人店を営んでいて、ビジネスとプライベートの境目が曖昧な人にとって、自分の感受性や感覚のバランスをフラットでニュートラルな状態に保つって、すごく大切だなと。あまり現実味に押しつぶされないようにするというか。夢みがちなままでやりたいことをやる、でもやるときはちゃんと論理立ててやっていくスキルって大切で、そのベースになるロマンチックな考え方とか感情とかに立ち返りたい時にパラパラとめくりなおす本です。
ーーなるほどなあ・・・。『ロマンティックに生きようと決めた理由』って、タイトルからしても、夢を現実にして生きていく覚悟みたいなものが感じられますしね。付箋がたくさんはってありますが、本の中で菊地さんが気になった言葉とか、今の自分にマッチするなっていう言葉は有りますか?
菊地さん:昨日もう一回読み直していて、あっ!と思ったのは、「とにかく電車が来たら乗ったほうがいい、途中で乗り換えてもいいんだし。」ていうやつですね。
ーーちょっと哲学的でもありますね。
菊地さん:これを翻訳すれば、「チャンスが来たらつかもうね」って話だと思うんですけど。電車が来た時に乗る準備が出来てないと乗れないし、ホームで荷物とか整理していたら、電車が来ちゃって行っちゃったみたいな感じってあるじゃないですか。電車が来た時にちゃんと乗り込める準備をしておくとか、途中で乗り換えがきくという考え方って意外と出来ないなと。
お店を始めて今二年目をそろそろ迎えようとしていると、「栞日的にはこうした方がいいかな。」とか、「これをやったら栞日らしくないな」みたいなこととかが、色々足かせになって自由に動けないとかいうことがあったりするんですけど。でもその電車に乗らなかった場合、出来ない事が沢山あるので、あとからこれは違ったねって、元の位置に戻ってもいいし、方向転換してもいいから、「あぁこれだな」って思ったときには、乗っちゃったほうがいいよねっていうことを、昨日見ながら思いました。
ーー何かをやろうかなと思ったときに考え込むほうですか?
菊地さん: 考え込むほうですね。準備もしっかりしてからやるタイプですし。
ーー何となく意外でした。瞬発力というか、けっこう感覚的に決めていらっしゃるのかと思っていて。センスがいいし、個人でやってらっしゃるから菊地さんらしさが前面に出たお店づくりなのかと思っていて。だけど、「栞日的にどうか?」っていう、ちょっと一歩引いてっていうスタンスなんですね。
菊地さん: そういうスタンスですね。この店は。なので、フラットに戻すのは重要。
ーーなるほど。あとは、10人の方のエッセイということでしたが、「特にこの方は自分に近い!」とかそういうのはありますか?
菊地さん:どなただろう。それぞれの言葉の中にそれぞれ、はっとする場面があったりするのですが・・・。一番最初に書かれているフローリストの岩崎さんは、ご自身の文章もこの本全体のタイトルと同じ「ロマンティックに生きようと決めた理由」ていう文章を書いていて。さっきの電車の話もこの人の言葉の中にあったし、「新しい扉をノックしあうような人間関係でありたい」とか。「人生にもしもと絶対はないと思う」とか。「私は私とボチボチやっていこう」とかね。この人の言葉はどれもストンて落ちてくるものがありますね。
ーー「あ、それわかる」みたいな感覚があるというか、そんなかんじですね。
菊地さん:そうそう、「たいていの悩み事は正直になれば解決するはず。」とか。
ーーあぁ~。すごい納得しました。
菊地さん: そうなんです。いい言葉がちりばめられているんです。
ーーいいですね、すごく読んでみたくなりました。いつまででも話しちゃいそうなんですけれど、ここで曲にいこうかと思います。仕事の○○な場面で聴く曲の紹介とエピソードをお願いできますか?
菊地さん: はい、紹介した本と同じ流れで。自分の中で煮詰まったときとか、判断力が鈍っているなというときに、自分をフラットでニュートラルな状態に戻したいときに聴く曲を選びました。「羊毛とおはな」で「揺れる」
「羊毛とおはな」から3曲選びました。ボーカリストの千葉はなさんが残念ながら先日急逝なさってしまったんですけれども、学生時代から僕がすごく好きで、ずっと聴き続けていたアーティストさんです。
■Opening:レモン/羊毛とおはな/LIVE IN LIVING ’07
■Ending:All You Need Is Love/羊毛とおはな/LIVE IN LIVING ’09
ラジオに連動して、塩尻えんぱーくで、展示&イベントを開催。
▼[8/9開催]イベントの詳細&お申し込みはこちら▼
菊地さんが自分の興味関心を整理するときの図書館利用術を一緒に楽しめます。是非是非ご参加ください!
また、塩尻えんぱーく図書館スペースにて、年間をとおしてFUTURE WORK SESSIONの展示を開始します。
7月28日〜8月9日の期間は、菊地さんの『働き方に影響を与えた本』をはじめ、栞日で販売している働き方について考える本を展示。
20代〜30代の編集者・書き手たちが模索しながら作り上げたリトルプレスの数々からは、仕事に対する熱量を感じることができますよ。
(パーソナリティ・イベント企画ほか/花輪むつ美)
Category
Archive
check daily events