経済から見る松本山雅!信州大学ベンチャービジネス概論特別講演会レポート

Category : スタートアップ レポート

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信州大学で行われた、授業ベンチャービジネス概論・特別講演会に行ってきました。

本業はお酒屋さんという、株式会社松本山雅・代表取締役会長の大月弘士さんが今回の講師。
「未来への夢と感動へのチャレンジ」というテーマで
10年でJ1まで到達した今までのお話から、海外視察や今後のビジョンまで、
ワクワクするようなストーリーをおうかがいしたのでレポートします!

「株式会社松本山雅は、ベンチャービジネスとしても、
サッカーチームとしても成り立ちが特殊だと思います。
私たち運営の人間や選手たちが主役ではなく、
地域の方が主役だったからこそ成功した事例であると感じています。
皆さんの中にも、応援に来てくれた方がいたら嬉しいです。
実際に試合を見に来てくれれば、臨場感が伝わりますので、是非一度おいでください。
大学生は2200円で1日楽しめるので、かなりお得ですよ。
今日は、アルウィンに足を運びたくなるような講義にしたいと思います。」

喫茶やまがから、プロジェクトチーム誕生。発足当時の裏話も!

 

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チームの成り立ちから講演がスタート。
仲間内の集まりから、プロジェクトチーム、
プロチームへと進化していった経緯が紹介されました。

「松本山雅FCは松本市内の喫茶店 “やまが”にサッカー経験者が集まって、

楽しめるサッカーをしていたのが始まりです。
ユニフォームの刺繍が間違っていても、作り直すお金もなかった、
なんていうエピソードもあります。
山が優雅にみえるということからチーム名も”山雅”という名前に決まったのですが、
認知度が無いときは”サンガ”と間違えて読まれてしまうこともありました。

プロジェクトチームの時は、選手もみんな別の仕事をしていたので、

仕事終わりの19:00〜21:00に夜の練習をしていました。
その頃は土のグランドで、役員の車で移動、
本当に手弁当でやっていたという感じでした。」

転機になった松田選手の加入と、一番大切にしてきたこと

 

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その後、2001年のアルウィン竣工、
2002年の日韓ワールドカップ開催などをきっかけとして、

2005年に松本山雅FCの運営がスタート。
2008年、2009年の天皇杯でベルマーレ平塚や浦和レッズを破り大金星を挙げたこと、

2011年の元日本代表・松田直樹選手加入など転機となったエピソードが紹介されました。

「山雅の歴史を語る上で外せないのが、松田直樹選手です。
まさか加入してくれると思ってなかったんですが、
地域の熱さやサポーターの近さを好きになってくれたのが大きいと思います。

残念ながら、松田選手は移籍した年の練習中に急逝してしまったのですが、

選手やファンの心の中で生き続けているし、 これからも一緒に戦っていくつもりです。」

「J2、J1と昇格が決まり、こうして成長できた理由としては、
”誰のためにクラブが存在しているのか”を明確にできたことが一番だと感じています。

山雅劇場だとよくいわれるんですが、
サポーターの方一人一人が、主人公であってほしいと思っています。

企業の指標としても、J1昇格までの目標年数を定めず、

入場者数を増やすことを1番の指標に掲げていました。

強力なリーダーシップをとれる、 大きな企業が支えているクラブだったら、
今のような形にはならなかったと思います。」

3世代が交流できる「山雅劇場」とは!?

 

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山雅の大きな特徴としてあげられるのが、入場者数やボランティアの多さ。

他のサッカークラブと比較しても、男女比や年齢に偏りが無い点も紹介されました。

「運営に関して、ボランティアの方に支えていただいているのですが、
学生の方から、上は77歳まで6年間、一度も休んだこと無いという方もいます。

2週間に1回アルウィンに来て応援しないと、いてもたってもいられない、

生き甲斐と感じて運営しているという声なんかも聞けて、大変嬉しいですね。

「多くのJクラブは男性サポーターが多いのですが、山雅は女性が多いのも特徴です。
年代も様々で、子どもも、70代のおばあちゃんもいて、90分間ジャンプしているんです。
サポーター同士で結婚している方も多く、スタジアムで結婚式をしたこともあります。」

海外視察と、地域を変える未来の話

 

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ヨーロッパに海外視察へ行った際のお話では、

クラブ経営にはじまり、選手育成の仕組みづくりやスタジアムのあり方まで、
先進的な事例が紹介されました。

「ドイツのブンデスリーガは選手の育成にお金をかけてリーグを強くした事例で、

そこに習って山雅でも地元選手の育成のために寮を購入したりと、
未来への投資を行っています。
将来的には、地元選手を一定数ずつ採用して、
近所の誰々の息子さんがチームで活躍している、
というようにみんなで応援したくなるような、

地域に根付いたチームづくりをしていきたいと思っています。」

「駅とサッカー場が一体となった施設、

地下にショッピングセンターが併設されたサッカー場など、

ただのスタジアムではなく、
多機能複合型の街として機能している事例がヨーロッパにはあります。

たとえば、スイスのセント・ヤコブ・パークでは、
介護施設付き高齢者居住施設がスタジアムに併設されています。
試合のときはVIPルームで観戦できるという特典付きで、
月70万円の入居費にもかかわらず、ほぼ満室です。

「現在、山雅の本拠地であるアルウィンは競技場としての単一機能で
郊外に位置していますが、 街の中心部にいろんな機能のついたサッカー場ができれば、

試合後に観客2万人が街中にあふれ出し、
未来の地域づくりにより貢献できると感じています。
そんな未来が実現したら、ワクワクしませんか?」

チーム運営のみならず、地域経済に関わるお話まで、もりだくさんの内容で講演が終了。
サッカーチームの運営をいろんな角度からみることができる講義でした。

<松本山雅のホームページはコチラ!>
松本山雅公式ホームページ

(取材:花輪むつ美)

  
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