★Creator’s File02・本城知香子さん★
コラボから生まれた、松本城のスタンプ&ポストカード。地域×デザインを新しい形で発信する。
今回お話をお伺いした本城知香子さんは、 Knower(s)の壁面本棚に作品を展示していただいている、ひとはこオーナーさん。
Knower(s)でシルクスクリーンの実演をしていただきながら、楽しくお話をお伺いしました。
ーー今までのキャリアを教えてください。
「建築の専門学校を卒業後、建築事務所へ就職したのがはじめての仕事です。そこでは製図などをしていたのですが、もっと企画に携わる仕事がしたいと思い、ウェブのプランナーという職種で10年ぐらい働いていました。その間に、転職したり、デジタルハリウッドという専門学校で3Dグラフィックをやったりと、いろんなことに取り組みました。共通して言えるのは、常に新しいことをしてきたということだと思います。転職のタイミングでも、新規事業部への配属が多かったです。また、仕事に余裕がでてきた頃から鎌倉で油絵を習っていたのですが、そこでもっときちんと絵について学んでみたいと思い、結婚と同時に武蔵野美術大学へ進学しました。藤沢から松本への引っ越しもあり通うのは大変でしたが、幅広く絵の勉強ができて、すごくいい経験でしたね。大学卒業と同時に出産し、今は子育てをしながらデザインの仕事や自分の創作活動をしています。
Knower(s)との出会いは、2014年5月に松本市美術館で行われたワークショップでスタッフの花輪さんとニアミスしたのがきっかけです。それ以来、Knower(s)で定期開催されているイベントのフライヤー制作や、県主催のイベントのフライヤーの仕事も頂きました。Knower(s)の勉強会やランチ会に参加しているうちに、そこで知り合った女性事業者の方々から依頼を受けてフライヤー制作や、webサイト制作など多岐にわたって活動しています。グラフィックデザイナーと名乗っていますが、最近は、その枠から出る活動も増えてきています。武蔵野美術大学の油絵専攻を卒業をしているので、イラストレーションや、自己表現としての仕事も並行して行っています。」
ーー最近ではどういったお仕事をされているのでしょうか?
「大きくわけると2つあります。グラフィックデザイナーの仕事と、自分の表現としての仕事です。
グラフィックデザイナーの仕事は、依頼をされてつくる仕事がメインです。 それはつねに、誰かの「お役に立つための仕事」であって、その人のイメージや、伝えたいことをうまくデザインして形にすることを自分の楽しみとして仕事をしています。依頼主の方は女性の方が多く、Knower(s)界隈の方々で言うと、ヨガインストラクターの名小路麻実子さんのフライヤー制作、ヒーリングスペース(リフレクソロジー)を主宰されている伊藤洋子さんのフライヤー、フォトグラファー内田民子さんのwebサイトのリニューアルを手がけています。
自分の表現の仕事としては、2014年にまつもと市民芸術館で上演された、串田和美さん演出の「K.テンペスト」の関連企画「街に魔法があふれだす」に参加させて頂きました。その時、リクエストされたのは、絵本のZine(小冊子)。Zineなんて作ったことがなかったのですが、奇跡的なタイミングでKnower(s)にてZine制作のWSが開催され、そのおかげで無事につくることができました。 一つの作品としての仕上がりにこだわったので、表紙はシルクスクリーンを用いて、1枚1枚手刷りで作りました。それがきっかけで、松本城をモチーフにしたシルクスクリーンのポストカード作品がうまれたわけですが。今は、Knower(s)をはじめとして、cafe &select amijokさんや、fiddleさん (ベーカリー & カフェ)、チーズケーキと雑貨のお店・むに。さんでも、ポストカードを発売しています。県外や、外国人観光客の方にもとても喜んで頂いているようで、シリーズで100枚以上納品しています。」
ーーこれからやっていきたいことを教えてください。
「松本に来てから、クラフト文化、民藝文化に触れて、何か自分の手仕事から生まれるものをやっていきたいと思うようになりました。地域とデザインということにも興味があり、松本、信州の魅力を作品として制作していければと思っています。
ポストカードを見た方からリクエストがあり、松本城のスタンプを制作しました。その制作の際にも、持ち手の木で悩んでいた時、Knower(s)で五条建設の伊藤さんをご紹介頂いて、杉の端材を頂くことができたんです。おかげでとても美しいスタンプをつくることができました。初回、Knower(s)さんに降ろしたものが翌日には売り切れた時には、とても嬉しかったですね。
また、日本の伝統的な美しさにも興味があり、和紙で四季折々のポストカードづくりもはじめました。春の販売に合わせ、大町にある信州松崎和紙さんに”和紙の中にサクラの花びらが散っているものができないか?”とご相談したところ、サクラの花弁は和紙にいれると溶けてしまうけれど、和紙で花びらを表現することはできますよ、と丁寧に相談にのってくださり、さらにポストカードとして使用できるよう、手漉き和紙とサクラの和紙をはりつけて厚紙にする作業をしてくださったんです。この素敵な紙にピンク色の松本城を印刷して、春だけの特別バージョンのポストカードができあがりました。
スタンプの持ち手の木をくださった五条建設の伊藤さんが「このスタンプを通して木に触れる機会になればいいなあ」とおっしゃっていたのが印象的だったのですが、和紙のポストカードも伝統を新しい形に変えて手に取ってもらう機会になったら、とても嬉しいですね。」
ーーものづくりを通して、大切にされていることは何でしょうか?
「誰もやったことのないことをやりたいと思っています。もうすでにあるならば自分でやる必要も無いですし、常に新しいことをやっていきたいです。今回のポストカードづくりもそうですが、和紙も自分でつくって、同じものがない、ここにしかない価値をつくれたらと思います。」
「また、現在、シルクスクリーン版画の新作に取り組んでいます。今までは、単色刷りだったのですが、版を4〜5版ほど作って多色刷りに挑戦しました。写真は、まず試し刷りしたものですが、モチーフは北アルプスの風景です。北アルプスの山脈がシルクスクリーンととても相性がよく、最初に刷った瞬間、美しいなぁと感じました。これからも松本の四季折々の美しい風景を作品にしていけたらと思っています。」
ーーみなさんにお伝えしたいことは?
「 今、リトルプレス(小規模出版)と呼ばれる、本の編集とデザインを手がけています。本の著者は、安曇野でお料理教室『おひさまキッチン』を主宰されている後藤和美さんです。花輪さんにも最初から相談に乗って頂いて、今、校正までお願いしています。『おひさまキッチンの食卓—安曇野の四季を感じて』というタイトルで、藤原印刷さんで印刷製本され、この2015年3月末には出版予定です。安曇野の豊かな食材、風景、生活を、後藤先生の季節の食卓とともに綴った本です。こちらもKnower(s)で出版記念イベントなども行っていく予定なので、ぜひお越し頂ければと思っております。 」
じつは、Knower(s)で本棚をかりたとき、最初なにも置くものがなかったんです。 シルクスクリーンでなにか作りたいなあと思っていたところではあったのですが。 何かしたいなあと思っている方がいたら、なにも作品が無くてもとりあえず借りてみると、いろいろと広がっていきますよ。」
(取材:花輪むつ美)
★知香子さんの作品をお買い上げの方には、オリジナルの活版印刷の名刺(手刷りですよ!!)をプレゼントいたします。数量限定なので、お早めのご来店を!
★知香子さんのホームページ「紙デザインいろいろ」はこちら!
★五条建設さんのホームページはこちら!
★信州松崎和紙さんのホームページはこちら!
http://www.shinshu-matsusakiwashi.com/
★ひとはこオーナー募集中!
Knower(s)では、壁面本棚で作品を展示販売していただける方を募集しています。 初回登録料は3000円(3ヶ月ごと更新)。 ご希望の方は、氏名・売りたいもの・販売開始希望時期をご記入のうえ、<hello@knowers.jp>までご連絡ください。
Category
Archive
check daily events