まつもと市民大学Day1授業レポート!「これからの組織に必要な感覚」

Category : コミュニティ まつもと市民大学

まつもと市民大学の開催にあたり、ゲストと授業企画について、今松本で注目されるスポットのひとつである、独立系出版物を主にセレクトするブックカフェ「栞日」の店主である菊地徹さんと、これから話題によく上がってくるような松本(またその周辺、長野県などの広い範囲でも共通するような)のトピックは何があるだろう、という会話からこの授業企画ははじまりました。
その中で、こちらから案を提示する中で絞られていたのは「情報発信」と「組織」の話。単なる情報拡散ではない自分たちのやりたいことのイメージに沿った「情報発信」についての話は興味があるけども、おそらくハウツーは書籍含めたくさん出ている。反対に「組織」の話は人が絡んでくることもあって、ある意味ケースバイケースで難しいけれども、情報が出ていないこともあって、新しい発見も多いのではないか、そして菊地さんにとって「話を聞きたいひと(相場さん)」がイメージできるので、この点で話してみよう、となりました。
というのも、今松本をはじめ、長野県、もしかしたら全国のさまざまな場所で、単に新しい何かを提示したり、自己表現をするということだけでなく、その土地で脈々とある何か(地縁や血縁を含めて)を受け継ぎ、そこに自己表現を添えていくような、ある意味、文化をつくっていくような感覚でお店をつくる人たちが、世界観を表現するにはひとりや夫婦というような単位がやりやすいけど、そこからスタッフを雇うところで、足踏みをしている人が多いように感じています。そんな人たちやまた企業でもっといいチームをつくりたいと思っている人たちにとってのヒントとなるような機会できたら、という想いでこの授業はつくられています。

家族という単位で考える

授業はまずお互いのバックグランドを知るところからはじまります。そこで話されたのは、相場さんのフィレンツェでの修行時代の話、帰国後の就職から、自身のお店である「LIFE」を立ち上げるまでの経緯と上記のような菊地さんの悩みの現在地についてなどのついて。その上での意見交換が会場の参加者を含めて行われていきました。 書籍を通じて、またこの企画準備でも知っていましたが、相場さんは土日を家族で過ごすためにスタッフに任せています。「子どもの行事に行くため」ということがはじまり、楽しそうに仕事をするスタッフの様子を見つつ、どんどん離れていったそうです。その根源には修行時代のイタリアの考え方があるそう。考え方の基本は社会や会社ではなく「家族」。家族の記念日のために会社を休むが普通にある状況だそうです。仕事の進め方の話とは違って、休みのとり方についてはスタッフ側から提示するのは難しく、経営側からの「こういうシステムにする」という提示が大切になるのでしょう。先日、主に編集プロダクションでGoogleカレンダーで個人の予定も入れる会社の話が紹介されていましたが、同じ話ですね。

任せることは妥協することでもある

仕事の上でも、スタッフと衝突することがあっても、気が済むまでとことん話し合うという相場さん。自営業は仕事とプライベートの境目は曖昧にやりやすいけど、それはそのままに自然体で、本当の意味で真正面から人と向き合っているからこそのチームの「あり方」だと感じました。また、任せるにあたっての難しさ、いわゆる「こだわり」についての伝え方について相場さんは意識的ではないけれど妥協している部分があるとも言います。そうやって時間をつくっていったから、新しい仕事の話も来ている、と。そもそもその新しいことのキャッチもできなかったのではないか、とも。
相場さんの話のお聞きするなかで、表現が一人称であってもその向こう側にスタッフの気配があって「自分たちの話」として話されている、と感じていました。相場さんは妥協と表現されていましたが本当はそれは「許容」で、人ひとりの枠を広げることによって得られる「先」に希望を持てるか、それが楽しいと思えるか、そこが相場さんのチームづくりのポイントのような気がしました。もしかしたら結果論であるかもしれませんが、自然体で仕事にもプライベートにも、そしてスタッフに向き合って、強いこだわりを外して(経営者だとここが一番難しいところではありますが)フラットに最善を判断し、その積み重ねによりチームを舵取りしていく、それが相場さんの方法論なのだなと感じました。

文章/KNOWERSディレクター瀧内
写真/まちの教室スタッフ賜

 

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