テーマは線!いわさきちひろの白黒の世界、佐藤卓さんとの箱ラボレーションを楽しめる「いわさきちひろ×佐藤 卓=展」7つのみどころをレポート!

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安曇野ちひろ美術館で、「はじめてみる、ちひろの世界。いわさきちひろ×佐藤 卓=展」
を開催中!
マスコミ向け内覧会&ブロガー特別鑑賞会に参加してきたので、その様子とみどころをレポートします。

安曇野ちひろ美術館のHPはこちら

ナビゲーターをつとめてくださったのは、安曇野ちひろ美術館のシンボルマークなども手がけるグラフィックデザイナーの佐藤卓さん。
作品解説やコラボレーションの意図、デザインの考え方までおうかがいしました。

水彩絵の具の淡さが、子どもたちを彩る・・・いわさきちひろ作品の印象を「色」として記憶している方は多いのではないでしょうか。
しかし、今回の展示で佐藤卓さんが着目し、テーマにしたのは「線」。
佐藤さん曰く、「色やにじみに注目されがちですが、その背景には優れたデッサン力があります。線のひとつひとつが素晴らしいからこそ、色の表現も生きてくるんです。」とのこと。
佐藤さんのプロデュースにより、いままでにない視点でつくられた実験的な展示が楽しめます。

みどころ・その①スケッチを分解して作られたテキスタイル・バナー

 

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(作品名:いわさきちひろ×佐藤卓=バナー 2014年)

「いわさきちひろさんのスケッチを線に分解してパターンにしたものをバナーにしています。今回の展示では、未完成の作品や、誰かに見せるためのものではない、なにげないスケッチも採用しています。」という佐藤さんのご紹介どおり、美しい線をひとつひとつ楽しめる内容です。

モデルなしで10カ月と1歳のあかちゃんを描き分けられると言われ高い画力を持つ、いわさきちひろさん。バナーからは、その原点となる視点やスケッチ力を感じられます。

みどころ・その②ジャンプ&ドロー!参加型ワークショップ

 

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(作品名:風船とまい上がる少年 1968年)

風船をもった少年の絵の前で、佐藤さんがジャンプしながらの解説。
タイミングよく写真を撮ると絵画の箱の中に入る事ができます。
写真投稿サイトInstagramにハッシュタグ #achihiro を付けて投稿した写真もあるので、
色んな方のコラボを楽しんでみても。
ちなみに、スタッフも何回かチャレンジしてみました。
モデルは身体を小さくしてジャンプ、カメラマンは連射モードで撮影すると、完全に箱の中に入り込めます。

また、展示室の前では「ちひろの線とのコラボレーション」ワークショップを常時開催。
佐藤さんが選んだちひろの線をもとに自由に絵を描くことができます。

みどころ・その③「佐藤卓が選んだ、ちひろの絵」入門・いわさきちひろ!

 

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ちひろさんの生涯のテーマであった、子どもを描いた作品が展示されているコーナー。
セレクトのポイントは、「いわさきちひろ作品をはじめて見る方にも、魅力が伝わるようなラインナップを選びました。」ということで、入門的な作品を集めたそうです。

後に続く、線画スケッチ、箱ラボレーションを見た後、戻ってきて再度一枚の絵を見ると、また違った発見もあります。

みどころ・その④「はじめてみる、ちひろの世界」なにげないスケッチから見えるもの

 

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展示タイトル「はじめてみる、ちひろの世界」のとおり、今までに無い白黒の世界で、やさしい線のゆらぎなどを感じられます。

佐藤さん曰く、「スケッチをされた時の背景を考えてみるのが好きなんです。この絵は、指先で描かれているのか、手で描かれているのか、はたまた、肘や肩から描かれているのか?たとえば、鉄条網の絵は、体全体で円を描いたと思うんです。すごく勢いがある。どんな要素でできあがっていて、どんな風に描かれているのかを考えてみると、ひとつの絵も違った楽しみ方ができると思います。」

『デザインの解剖』という企画展や書籍を手がける、佐藤さんらしい視点での解説もおうかがいできました。

みどころ・その⑤「ちひろと佐藤卓の実験室」箱ラボレーション

 

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(作品名:いわさきちひろ×佐藤卓=箱⑧ 2014年)

いわさきちひろ作品から佐藤さんが想像した立体物と、その作品を一つの箱の中で表現した、箱ラボレーション。

箱の照明計画は照明デザイナー・面出薫さんが担当し、乳白色の照明がコラボ作品を浮かび上がらせます。
「詩人が絵をみて一遍の詩を綴るように、佐藤さんの解釈やインスピレーションを表現しているのが、この箱だと思います。」という美術館創設者の松本猛さんの解説も。

平面×立体の世界を楽しみながら、鑑賞者自身も想像力をふくらませることができる空間です。

みどころ・その⑥「佐藤卓のデザイン採集」遊び心が隠された作品群

 

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(作品名:佐藤卓 チロリアン五人衆・立体 2006年)

昆虫採集のようなイメージで佐藤さんの代表的なデザイン作品が展示されているコーナー。
その中でもひときわ目を引くのが、千鳥屋総本家の洋菓子「チロリアン」の巨大なマネキン。
この洋菓子のパッケージには商品名はなく、チロル民俗衣装の5人は、口の形がチ・ロ・リ・ア・ンになっています。
思わず誰かに話したくなる仕掛けをつくった、というデザインの裏側の物語を聞く事ができました。

また、「デザイン家具やデザイナーズマンションといった、いわゆるカッコいいものだけがデザインだと思われている傾向があるけれど、それは違うのではないかと。
あらゆるものはデザインされているし、もっと日常に即したものであるべきだと思っています。」
という、デザインの考え方のお話も印象的でした。

視点の柔軟な取り方や本質を追求する考え方、
そしてスパイスとなる遊び心があるからこそ、長く愛されるデザインが生み出されるのではないかと感じた展示でした。

みどころ・その⑦同時展示開催!「衣装のあれこれ!?世界の絵本展」

 

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(作品名:『ねえ、こっちむいて』より キアラ・ラパッチーニ 1998年)

同時開催で、「衣装のあれこれ!?世界の絵本展」を開催中。
特に印象的だったのが、働くパパ・ママの忙しさを衣装で表したイラスト。
かわいいですが、子どもの目線で見たら大人ってこう見えているようなあ、と思ったり。

上記の絵のように普段は忙しい方も、
夏休みは親子でゆっくりおでかけしてみてはいかがでしょうか。
美術館の館内には絵本を自由に読めるスペースや絵本カフェなどもあるので、一日楽しめますよ。

※記事に掲載している写真は美術館の許可を得て撮影しています。
展示スペースは撮影不可となりますのでお気をつけください。

(取材・撮影/花輪むつ美)

  
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